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「薮の中」

人生で印象に残る映画、本というのがいくつかあると思うけれど、その1本となる本、映画を立て続けに鑑賞。

◆湊かなえ著『告白』/DVDは前半のみ鑑賞
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◆ナタリーポートマン主演『ブラック・スワン』
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どちらも興味の有る方はぜひ直接鑑賞いただきたいのであらすじは避けておきます。エッセンスだけご紹介すると、両者とも…

「人間の複雑な深層心理は本人の意志・認識をも狂わす。
 その深層心理は他人の何気ない一言で蠢く」


深層心理の衝動で殺人さえ犯す。自分をも殺す。
しかもその事実でさえ犯人、証人、当事者、全て見方が違う。まさに『薮の中』。


虚栄、隠蔽、誇示、保身。その正当化を重ねて重ねて人はオトナになる。

『ブラックスワン』の場合はそれを対人ではなく強固な自分の殻の中で閉じ込めてしまい、熟成し爛熟し…第三者的には破滅、当人にとっては「完璧」な世界を作り上げる。


凡人は『告白』や『薮の中』の様に事実をウソで塗り固め、自分でもそう信じ込む。それはもう正しいとか事実とかは関係なく、「自分はこうである」というぶつけ合いになる。

だからこそ。

相手の「自分はこうである」というのを正確に読み取り、自分も丁寧に発信することで事故を避けたい。



色んな人がいて、色んな事故が起こる。

『告白』では過保護母、マザコン少年、ナルシスト・カルト嗜好な年代の子ども達、自己中教師。全ての思惑のズレが飽和して事件が起こる。それは昔からある人間関係の葛藤だとは思うけど、この小説では現実の事件を取り込み今の時代の葛藤の特徴を浮き出す。


それは二点。
「人の気持ちを読むことができない」「簡単に殺人に至る」こと。

知識と道具がネットですぐに検索でき、身体的痛みを体感することがなく育ってきた平成世代。
愛情と甘やかしが区別できない親世代。
事件の「薮の中」を知ろうとしない報道。
そういう報道でしか判断できない世間。

それらをバッサリ描いた作品だと思います。
日頃、少年事件の報道を「心の闇」「教育の問題」で片付けるワイドショーに疑問を持つ方には小気味がいい作品かもしれません。が、後味は重い暗い。


『ブラック・スワン』はとにかくナタリー・ポートマンの真骨頂。バレエ、ナタリーの魅力、迫力が伝わるので、映画館での鑑賞をお勧めします。
一つの芸術を完成させることへの執着は、かなり身につまされました。無理だとしても、こうありたい…!!でもそれが周りに迷惑かけるとしたら、やっぱり踏み切れないんだよなぁ…そんなこと考えてる時点で資格無いなぁ…ジレンマ悶々です。
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by harusho71 | 2011-06-01 20:13 | 生活-la vie diverse | Comments(4)