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茶道楽

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昔はコーヒーばかりでしたが、今は色んな気分を味わいたくて紅茶、緑茶もまんべんなくたしなんでおります。たまたま全て在庫が切れてきたので、物色。

それほどこだわりはないのですが、スーパーのはできれば避けたい。
コーヒーと紅茶は輸入食品店で。緑茶は百貨店で。


大丸心斎橋の食品フロア。隅っこにぽつんと「つぼ市」さん。にぎわうフロアをよそ目に人の入りにくいデッドゾーンで客を待ち構える店員。一瞬ひるみましたがすかさず試飲を差し出され…


かなり濃い美しいお茶の色に思わず手に取ってしまいました。
そしてお茶ソムリエ?的な一生懸命お茶を語る店員さんに一通り講釈を伺います。

ソムリエさん「お茶は高いのを知ると戻れませんよ」と不敵な笑み。むむ…そんなに余裕もないのでとりあえずこの時期お勧めという『熟成蔵』なる煎茶を購入。つぼ市って名前はよく聞くしマークもよく見るけど、堺のお茶やさんだったんだぁ。


動画の『利休の詩』は玉露なみのお値段。料理家、岸朝子さんに太鼓判をいただいたり皇室献上したりされているそうです。



そして、お茶、というと必ず脳内にはBGMの様に漱石センセイの『草枕』の一節が感覚的に香ります。


老人は首肯(うなずき)ながら、朱泥の急須から、緑を含む琥珀色の玉液を、二三滴ずつ、茶碗の底へしたたらす。清い香りがかすかに鼻を襲う気分がした。 (…略)



茶碗を下へ置かないで、そのまま口へつけた。濃く甘く、湯加減に出た、重い露を、舌の先へ一しずくずつ落して味って見るのは閑人適意(かんじんてきい)の韻事(いんじ)である。普通の人は茶を飲むものと心得ているが、あれは間違だ。舌頭(ぜっとう)へぽたりと載せて、清いものが四方へ散れば咽喉へ下るべき液はほとんどない。ただ馥郁(ふくいく)たる匂が食道から胃のなかへ沁み渡るのみである。歯を用いるは卑しい。水はあまりに軽い。玉露に至っては濃(こまや)かなる事、淡水の境を脱して、顎を疲らすほどの硬さを知らず。結構な飲料である。眠られぬと訴うるものあらば、眠らぬも、茶を用いよと勧めたい。



あ、emikoちゃん、全文はこちらに(笑)
青空文庫『草枕』
by harusho71 | 2011-10-08 19:46 | 生活-la vie diverse